温かい泉(温泉)





前回は、温泉や鉱泉の定義について見てきました。
今回はそのついでに温泉の温かさはどれくらいなのか、その基準をみていきたいと思います。

端的に言えば、前回取り上げた鉱泉分析法指針にその基準が示されています。
以前述べた通り、温泉法では、温泉は地中から湧出する温水・鉱水の外、水蒸気その他のガスを含むもので、鉱泉分析法指針の温泉は地中から湧出する温水および鉱水の泉水です。そして一定の成分を含むものは温泉、療養泉といいます。

その中で温度に着目すると温泉法、鉱泉分析法指針ともに、温度が25度以上のものを温泉としています。

今回ご説明していきたいのは、なぜ、温度が25度以上のものを温泉というか、です。

この理由については、鉱泉分析法指針に記されています。
鉱泉の定義をもう一度見ていきましょう。

鉱泉とは,地中から湧出する温水および鉱水の泉水で,多量の固形物質,またはガス状物質,もしくは特殊な物質を含むか,あるいは泉温が,源泉周囲の年平均気温より常に著しく高いものをいう

※下線部は筆者による。以下同様。

ここにある通り、泉温が源泉周囲の年平均気温より常に著しく高いもの、これを鉱泉≒温泉とすることが記されています。

他の書籍を見ていきたいと思います。

観光地理の大家で温泉研究の第一人者に山村順次という方がいます。いづれこの方の研究成果も紹介したいと思っていますが、この方は温泉地域に関する論文を多数発表しています。この方の単著で温泉研究の概説的なものとして、「日本の温泉地-その発達・現状とあり方-」というものが出されています。

この本は日本温泉協会のサイトから購入することができます。
※画像はそのサイトよりお借りしました。
この本を読んでいくとさらに詳しいことが書かれています。

温泉とは、その字句のように地下から湧き出した温かい水(泉)のことであるが、世界各国の定義づけには若干の違いがある。人間が冷水と温水を区別できる温度は摂氏三四・五度(以下特記のない場合は摂氏)であると言われ、温泉医学的にはそれ以上の湧泉を狭義の温泉と称している。しかし、一般的には地下水の温度はその土地の年平均気温より一~四度ほど高いので、湧出した地下水の温度がそれ以上であれば地下にある種の熱源があると考えて、これを温泉とすることができると言われる。世界各国ではその値を参考にして温泉の定義づけをしている。例えば日本や韓国、南アフリカでは二五度以上、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど西ヨーロッパ諸国では二〇度以上、アメリカ合衆国では二一・一度(華氏七〇度)以上を温泉と規定している。

このようにその土地土地の平均気温より数度高いものを温泉としていることが分かります。

温泉に関する入門編の書籍の一つに「温泉学入門ー温泉への誘いー」というものがあります。

この本には地下に何メートル掘ると地温が何度あがるかという地下増温率、地温勾配というものが取り上げられています。
それによると地下一〇〇メートル深くなると地温はおよそ三度高くなるとあります。
このことを考えると、地下のある程度の深さに水脈があれば、温泉水(この場合は深層熱水)をくみ上げることができることが分かります。

これとは別に火山に関連する熱により温められる火山性の温泉がありますが、平野部や街中にある温泉はこの地下増温率に従って(深度掘削を行って)加温された温泉水を利用していることが多いと言われています。

【参考】
https://www.bathclin.co.jp/happybath/%E6%B8%A9%E6%B3%89%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%A9%E3%81%86%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%AE%EF%BC%9F/(株式会社バスクリンウェブサイト)
https://www.spa.or.jp/onsen/492/(日本温泉協会ウェブサイト)
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/07_06_11.pdf(国立研究開発法人産業技術総合開発所PDF)

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