温泉宿の探し方・『温泉案内』デジタル化

はじめに

2018年9月に温泉に関するお話をさせていただく機会がありました。
実は私、蚤の心臓の持主でして、自分の研究を人前で話したことがほとんどありません。
しかも今回は一般の方向けへのお話。初対面で予備知識がほとんどないと考えておいた方がよい、そんな皆様にお話をすることになりました。

どんな話を…?

どんな話をするか。考えました。

温泉の研究、私は前にも書かせていただきました通り、湯治場で湯治という経験知がどのように蓄積され伝承されてきたか、その有り様、条件のようなものを明らかにしようとしています。
そのためいくつかの湯治場に行くことがありました。これ、たくさんの湯治場に行っているかというとそういうわけではありません。
一つの湯治場に何度も通い、そうすることで、少しずつ湯治という経験知の蓄積と伝承の実態にせまっていく、そういう研究スタイルを取っています。
また、湯治場という社会の構造を把握するために私は、湯治場に関する行政文書を分析史料としています。今は行政文書の全容とそこから読み取れる湯治場の社会構造の把握、これが研究のメインになっています。

翻って、どんな話をするか、です。
温泉を研究している、湯治場を研究しているという話になると、ほぼ必ず聞かれることがあります。
それはどんな温泉が〇〇によいか、〇〇に効く温泉地は、オススメの温泉地は、ということです。
温泉を研究しているというと、たくさんの温泉地に足繁く通っている、そう思われることが多々あります。
だからこの人に聞けば、なんかいい温泉地が分かる、そう思われることが多々あるのです。

しかし私は数えるほどの温泉地にしか行ったことがありません。
ですので、質問をされた人の方がたくさんの温泉地に通われていることがほとんどです。

そういうことがあってオススメの温泉地は?という質問は私にとって最も苦手なものでした。
ただ、この最も苦手なものが、最も良く聞かれる質問であるとすれば、いつかはこの質問に回答しなければならない、そう思っていました。

私の温泉地・宿の探索法

私は湯治が行われている湯治場に通っていると書きました。
実はこの湯治が行われている湯治場を絞り込む自分なりの術は持っていました。
といっても、これもネタを明かせば『古くからある温泉地に、古くからある宿で、あまり設備等が立派ではない宿』それを探すだけです。

そしてその時は大正の頃の『温泉案内』を一つの資料として使っていました。
何故か? 古書の中でもお値段がお手頃で(数千円)手が届きやすいものだったからです。学部生だった頃、最初に買った温泉の資料もこの『温泉案内』でした。
今でも日本の古本屋などで『温泉案内』と検索すれば、たいていヒットします。いつでも購入することができます。

購入したら、そこに載っている宿で今、宿泊費がそんなに高くない宿、そんな宿を見つけたら後は情報を集め、電話で予約します。電話で予約するときに、こちらの希望を伝えます。例えば「高血圧なので塩分控えめの料理を出して貰えないか」とか自分の健康状態にあうかの確認だけでも。その時の対応から、保養、療養向けの宿かを判断する。あとは旅行に行くとき温泉案内を持っていって「これを見てきました」なんて話をしてみてもいいかもしれません。そこの宿の客あしらいが自分に向いていて、あとは宿の温泉が自分にあっているか、それが分かれば、そこを行きつけの温泉宿にできます。

『温泉案内』のデジタル化

『温泉案内』、実は、パブリックドメイン(著作権が切れた状態)になっており、国立国会図書館などのデジタルライブラリーで無料で閲覧、データをダウンロード可能です。

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/962279

なので、このブログを読んでいるあなたなら、今すぐ閲覧することができます。

…著作権が切れているものなので、私も自炊(自分で本をスキャン、デジタル化)してみました。
本のデジタル化には、本を切断してするやり方と、本を壊さずスキャンする非破壊自炊と呼ばれる方法があります。

温泉案内、数千円とはいえ、流石に本を切断してデジタル化することには抵抗がありました。
で壊さない自炊をするためいくつか機械を試しました。
一つ目はハンディスキャナ。
これは画像が歪んでしまいうまくいきませんでした。

次に使った機械はこちら。

Plustek OpticBook 4800です。

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Plustek OpticBook 4800 | 高速読取り ブックスキャナー A4

この写真のように本を置きます。このスキャナは読み取り面の縁が2mmとなっているところがポイントです。
ですので、このように本を置いてスキャンすると、本のノドギリギリまでスキャンすることができ、ノドの部分に影ができません。

ただ特徴はそれくらいでこの値段、高いとみるか安いとみるか微妙なところです。

なので私の場合はReReレンタルでレンタルしてスキャンしてみました。

レンタルだと3泊4日で約6000円でした。

できたデータはこちら。

(64MB PDF)

カラーなのと目次つけたのが国会図書館のものとの違いです。スキャンの精度(ページが斜めになっている等)はご愛敬ということで(汗)。
これ単ページをA4に引き延ばしても読めるくらいの解像度になっています。
あとは温泉地毎にしおりをつけましたので、Adobe Acrobat Reader で検索をして、特定の温泉地のページを表示することができます。
検索は「編集」メニューから「高度な検索」を選択して「しおりを含める」を選択して検索します(下図)

 

 

しおりはpdf_asというソフトで追加しました(下図)。

テキストを編集することで(下図)でしおりを一度にまとめて作成できるのでとても便利です。

おわりに

そんなこんなで温泉地・宿の探索法を簡単に紹介し、その上でその際に実際に使う資料の紹介・公開をしてみました。
今回お話したところのキモは一応この温泉地・宿探し法。
とりあえずここに記すことができました。
あとの事柄についてもおいおいブログに記録で残しておきたいと思います。

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